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クチキムシ(Allecula melanaria)

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 6日、7日と春の様な日が訪れましたが、それ以外はここ2週間ばかし雨模様の肌寒い日が続いています。それでも、今日は、少し薄日が射してきました。しかし、まだ土はグチャグチャ、草木も濡れたままです。虫撮りに行くのはまだ一寸無理の様です。
 そこで、今回も昨年の冬に撮った写真を出すことにしました。

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ケヤキの樹皮下で越冬するクチキムシ
右下の白いのは越冬中のクモの巣
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 クチキムシ(Allecula melanaria)です。昨年の1月に掲載した「マドチャタテ科の1種」が居たのと同じ、7丁目にあるケヤキの樹皮下で、3頭一緒に越冬していました。
 「集団越冬」と云うには少な過ぎますが、条件によっては多くの個体が集まって越冬することがあるのかも知れません。同属近縁種のオオクチキムシは時に集団越冬することが知られています。
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胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無い
鞘翅、胸部背面、頭部上部は黒、他は赤褐色
オオクチキムシとは異なりツヤがある
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 どうも、この手の虫は(も)苦手で、見つけた時はゴミムシ類かと思いました。しかし、正面から見ると(下)、大顎がよく見えず、ゴミムシダマシ科かその近縁の虫の顔をしています。
 以前(2008年8月)、「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下に居たゴミムシダマシ科のセスジナガキマワリを紹介しましたが、その顔ととかなりよく似ています。
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一見ゴミムシに似ているが、顔は全く異なる
触角第3節と第4節はほぼ等長
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 家に帰り、早速、保育社の甲虫図鑑第3巻で探してみました。胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無く、釣鐘に近い形です。脚や頭部前半、触角、胸部下面は赤褐色で他は黒色、胸部や鞘翅の上には黄色い短毛が生えています。残念ながら、ゴミムシダマシ科には該当する種がありませんでした。
 そこで、近縁の科を調べて見たところ、名前だけはよく知っているが実物は見た記憶のない、超普通種のクチキムシ(Allecula melanaria)であることが分かりました。些かガッカリ・・・。
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胸部下面は赤褐色をしており、前腿節が太い
胸部、鞘翅には黄色の短毛が生えている
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 クチキムシはクチキムシ科(Alleculidae)クチキムシ亜科(Alleculinae)に属し、ゴミムシダマシ科と同じゴミムシダマシ上科(ヒラタムシ上科)に属します。
 名前の通り朽木に多く、幼虫も、「虫ナビ」に拠れば、朽木を餌とするそうです。また、同サイトには「触れるとやや臭い匂いを出す」とあります。写真の虫には触れてはいないので確認は出来ませんでしたが、この次見つけたら試してみましょう。
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斜め上から見たクチキムシ.撮影中全く動かなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 本種に似た種として、先に挙げたオオクチキムシ(A. fuliginosa)が居ます。写真のクチキムシの体長は10mm強(甲虫図鑑では10~12mm)ですが、オオクチキムシは14~16mm(同図鑑に拠る)とかなり大型です。図鑑に拠れば、上翅には黒褐色短毛があり、触角第3節は第4節よりも明らかに短いとのこと。
 また、図鑑では良く分かりませんが、Web上の写真を見ると、キクイムシにはツヤがあるのに対し、オオキクイムシは体全体が「艶消し」になっており、かなり印象が異なります。
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オマケの1枚.
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 保育社の図鑑を見ると、クチキムシ科の近縁に、クチキムシダマシ科(Elacatidae)と云う科があります。日本には2属4種しか居ない小さな科です。この科はチビキカワムシ科(Salpingidae)に入れられることもあるとのことで、九大の目録では、この科に属す4種はチビキカワムシ科所属となっていました。
 この辺りの科には、「ダマシ」や「モドキ」がゴマンと居るので、充分に注意する必要があります。

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